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GDPランキング3位争い【フィスコ・コラム】

*09:00JST GDPランキング3位争い【フィスコ・コラム】
GDP世界ランキングでドイツが日本を追い抜き3位に躍り出たことは、2024年の重大ニュースの1つでしょう。しかし、ドイツの政治的混乱が同国経済を弱体化させる可能性が出てきました。政治の混迷が続く日本が今後再浮上するのか、それとも・・・。


米大統領選は共和党のトランプ前大統領の再登板が確定し、次期政権の発足に向けた政策期待でドル1強の様相です。対照的にユーロ圏は経済指標の低調ぶりが目立ち、ユーロは「最も買えない通貨」(短期筋)と言われています。実際、ユーロ・ドル相場は9月末の年初来高値から大きく下落。その後は回復しつつありましたが、足元は約1年ぶり安値圏の1.05ドル台まで売り込まれました。


その主要因は、域内経済を牽引するドイツの不透明感です。10月30日に発表された7-9月期国内総生産(GDP)は前期比でテクニカルリセッションを免れたとはいえ、前年比はマイナス。鉱工業生産や景況感指数も悪化し、明るさが見えてきません。ナーゲル独連銀総裁はトランプ次期大統領の掲げる関税措置が実施された場合、GDP1%分を失う可能性があるとの認識を示しています。


さらに、ドイツの失政が経済力をさらに弱める恐れがあります。ショルツ首相所属の社会民主党(SPD)を軸に同盟90/緑の党(B90/Gr)、自由民主党 (FDP)で構成した連立政権は予算審議をめぐり対立。来月の連邦議会でショルツ氏の信任投票が否決されれば、2月に総選挙が行われる予定です。既存政党への不信感から、フランス同様に右派勢力の党勢が拡大し政局が流動化すれば政府の機能は麻痺しかねません。


ドイツを代表するメーカーが2010年以降、国外に経営の資源を移転させる動きが広がり、これまでの純資本流出額は6500億ユーロ(100兆円超)規模と指摘されます。特にショルツ政権が発足した2021年にその流れが加速。米トランプ次期政権の始動によりドイツ企業は関税を回避しようとアメリカへの投資を増やせば、さらに資本流出を加速させるシナリオも想定されます。


資本流出は、特に投資の低迷とそれに伴う経済活動の縮小を通じ、GDP成長率に対して大きな負の影響を及ぼす要因となります。これまで世界ランキング3位の定位置をドイツに譲った日本も先の総選挙で与党が過半数割れに追い込まれ、ドイツのような政治情勢の混乱も予想されます。そうこうしているうちに、ここ数年で成長ペースを高めている現在5位のインドがドイツや日本を一気に抜き去るかもしれません。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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