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アートネイチャ Research Memo(10):価値創造に向けた成長戦略を引き続き展開

*13:50JST アートネイチャ Research Memo(10):価値創造に向けた成長戦略を引き続き展開
■中期経営計画

3. 成長戦略
アートネイチャー<7823>は、強みと環境認識を背景に価値創造に向けた成長戦略を引き続き展開、男性向け事業で他社との差別化戦略の推進、女性向け事業では新たな顧客接点の創出や事業間の連携強化、女性向け既製品事業では出店数の拡大と既存顧客に対する販売戦略の強化、その他事業では認知度拡大に向けた取り組みの強化、そして新領域での事業開発を推進している。そのうえで、すでに毛髪業界でトップシェア(35%程度)と推測されるが、さらにシェアを40%に引き上げるとともに、出遅れていた女性向けでもトップの座を狙う。

男性向け事業では、他社との差別化戦略を推進して1.5%成長を維持する計画である。そのため、これまでも高付加価値商品を提供してきたが、さらに価格で負けない高付加価値商品を開発するとともに、原材料高に対する既存モデルの価格改定、安心して来店できる環境整備、人員増強による受入体制の強化、ウィッグ訴求のプロモーション強化、シニア層以外への認知拡大に向けた取り組み強化などを推進する。同業他社は、コロナ禍の痛手により新商品を開発する余力に欠けるように見受けられ、特に常時身につけるため品質指向の強いウィッグで、自社内に蓄積してきた技術と毎年2回新商品を投入する開発力で圧倒的な差をつける考えである。

女性向け事業では、新たな顧客接点の創出と事業間連携の強化により5.4%成長を確保する計画である。そのため、「スタイリア」など「フィーリン」に続くメガヒットの開発、原材料高に対する既存モデルの価格改定、自社アプリ強化などによる新たな顧客接点の創出、女性向け既製品事業との連携強化によるハイブリッド店や広告の展開、新たな催事の開発などを推進している。特に前中期経営計画のヒット商品である「フィーリン」の買い替え需要が見込まれるが、確実にその需要を確保することも重要な目標となっている。また、新たな顧客接点の創出では、従来の広告による反響営業に加え、足元で重要が高まっているSNSやオンラインを活用した新規の開拓チャネルを構築する。女性向け既製品事業との連携ではハイブリッド店の強化を進めるが、新規での連携も強化して店頭の接客力を向上させる。

女性向け既製品事業では、出店数の拡大と既存顧客に対する販売戦略の強化により12.7%成長を達成する計画である。そのため、既製品ウィッグユーザーの潜在需要を刺激するオーダーメイド品質の商品投入、原材料高に対する既存モデルの価格改定、未出店エリアへの出店拡大(2026年3月期末までに9店舗を出店する予定)、女性向け事業との連携強化、リピート販売体制の強化などを進めている。特に、新規購入後にメンテナンスなどで継続的に来店してもらい、然るべきタイミングで追加購入を図ってリピート売上を増やす計画である。リピート売上を拡大するには顧客を確実にフォローする体制が重要で、商品供給体制やアフターメンテナンスの内容見直しなどにより生産性を向上して応対時間を捻出するほか、人材の育成や顧客アプローチの手法見直しなどにより成約率の向上を図る。

その他事業の通販・海外事業では、アートネイチャーブランドの認知拡大に向けた取り組みの強化、アフターコロナにおける海外での営業活動の再開、収益性を重視した運営の徹底などを推進する。また、新領域の事業については、本業に隣接した「美と健康」に関わる事業を開発・拡充し、2026年3月期に売上高で30億円(最大100億円)を目指す。なお、前述したとおり、ウィッグ需要がまだ期待できる中国国内における販売事業からの撤退を発表したが、東南アジアへの注力方針は変わらない。

一方、中期経営計画における資金計画は、女性向け事業への積極投資、既存店舗の移転リニューアル・改修、ITシステム投資など持続的な成長に向けた積極的な事業投資に年間30億円、魅力ある配当など株主還元の向上に年間10億円を計画、これに対しておおむね年間30億円~50億円が見込まれる営業キャッシュ・フローを充当する予定である。さらに、新領域の事業の獲得や拡充に対して3年間の上限として100億円を検討しているが、これには手元資金を充てる予定である(2024年3月期末の現金及び預金残高193億円)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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