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Jオイル Research Memo(5):中期経営計画を2年先延ばして外部環境変化などに対応

*11:05JST Jオイル Research Memo(5):中期経営計画を2年先延ばして外部環境変化などに対応
■J-オイルミルズ<2613>の中期経営計画

1. 第六期中期経営計画の見直し
同社は現在、成長基盤の確立と成長加速によって持続的に成長する2030年度の目指すべき姿に向け、第六期中期経営計画(2022年3月期〜2027年3月期)を実行中である。当初の計画期間は2022年3月期〜2025年3月期であり、老朽化設備への対応や拠点再構築の完成、新領域への成長投資拡大などを目指し、将来に向けた成長投資の強化、及び国内需要の縮小に備えるための構造改革と経営基盤の強化を進める計画であった。具体的には、ブランド価値を向上するため、高付加価値品の拡大、油脂汎用品の収益力改善、海外及びスペシャリティフード事業を強化する成長戦略に加え、バリューチェーンと業務プロセスの改革、資産効率の改善を進める構造改革、ダイバーシティ・インクルージョン・エクイティ、リスク対応力・グループガバナンスを促進する経営基盤の強化という内容であった。これにより、第六期中期経営計画発表当初は、2025年3月期に売上高2,200億円、営業利益110億円、営業利益率5.0%、ROE8.0%、2031年3月期に売上高2,500億円、営業利益240億円、営業利益率9.0%、ROE12.0%を目指していた。

しかしタイミング悪く、新型コロナウイルスの影響による外食需要の低下に続き、ウクライナ情勢が悪化したことでひまわり油の供給不足が発生。これに伴い、大豆油・菜種油への代替需要が急増し、食用油需要に構造的な変化が顕在化した。さらに、急速な円安やエネルギーコストの上昇にも見舞われ、同社の外部環境は大きく変化した。加えて、原料相場の変化を吸収するための価格改定の遅れ、マーガリン事業の収益悪化、事業ポートフォリオの偏りといった内部要因も重なり、2022年3月期〜2023年3月期の利益水準が大きく低下した。

このような状況から、2023年3月期中に第六期中期経営計画の見直しを行った。そのなかで、健康志向の高まりなど食に対するニーズの多様化、サステナビリティ意識の社会的浸透、ASEAN地域の中流層拡大、北米などでの市場拡大、貿易自由化といった「機会」と、外部環境変化に伴う原料やエネルギーの調達不安定化と調達コスト上昇、人口減などによる国内需要の減少、人財獲得不足やイノベーションの遅れによる競争力の低下などの「リスク」をあらためて認識した。これにより、中期経営計画の期間を2年延長して基盤固めを継続するとともに、素材、技術力、顧客接点といった同社の強みを生かした戦略への見直しを行い、SCM改革や生産拠点の最適化を通じた構造改革による収益基盤の強化、“低負荷”などをキーワードに成長ドライバーとなる商品の育成と販売拡大を目指す成長戦略、海外や新規事業領域への進出に向けた積極的な投資戦略を推進している。

具体的には、ウクライナ情勢の影響の長期化に加え、コロナ禍からの需要回復による人流復活に伴う外食市場の回復や海外旅行者の増加による土産菓子需要の回復と、それに伴う物価上昇など経営環境の変化に機動的に対応するため、マージンコントロールによる価値に見合った価格の形成、商品ミックスの改善による高付加価値品の売上構成比拡大、マーガリン事業など不採算事業の構造改革による収益化によって、2021年3月期以前の営業利益水準への早期回復を目指す。併せて第六期中期経営計画の定量目標も一部修正し、売上高(当初目標2,200億円)と営業利益率(同5.0%)の目標を取りやめ、資本効率を重視することで、2027年3月期に営業利益110億円(同110億円)、ROE8.0%(同8.0%)、ROIC5.0%(同5.5%)、EPS260円(同260円)を目標としている。

なお、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、現状0.6〜0.7倍の水準にあるPBRの改善も目標としている。具体的には、株主資本コストを上回るROE水準の達成と成長戦略の取り組み(詳細は後述)を強化する。ROEの改善には、資産の効率化を進めていくことが必須で、不採算事業の撤退などこれまでの取り組みを通じて棚卸資産の圧縮を進めてきたが、さらに固定資産回転率の向上やキャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善もフレキシブルに推進していく。また、売上高純利益率も向上させる必要があり、そのために様々なアプローチを検討しているが、まずは高付加価値品の拡販やソリューションの提供を進める。さらに、財務の仕組みを整備することで新規事業の成功確率を向上させる方針だ。加えて成長戦略により、同社が現状認識している株主資本コスト6〜7%を超える8%のROEを第六期中期経営計画の目標とした。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)



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