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米強気相場の継続に課題【フィスコ・コラム】

*09:00JST 米強気相場の継続に課題【フィスコ・コラム】
今月のNY株式市場でダウが初の48000ドル台に一時浮上し、上昇トレンドを維持。ただ、来年に向け堅調地合いを継続するには、トランプ政権の政策運営など不透明要因が警戒されます。特に、人工知能(AI)開発が進まなければ、期待先行の相場は崩壊しかねません。


ダウは年初に42000ドル台でスタートした後、4月にトランプ政権の関税政策を嫌気した売りが強まり、37000ドル台に急落する場面もありました。その後も米中通商摩擦の激化が不安視されつつも指数は切り返し、S&Pとナスダックとともに過去最高値を更新し続けています。3指数は年初から上値を10%前後伸ばし、このペースが続けばダウは2026年にも初の50000ドル到達もあり得るでしょう。


その背景にあるのは、生成AIや半導体投資が米企業の設備計画や利益見通しを押し上げ、「将来の成長」を先取りする形で資金が流入していること。企業は研究開発費を積み増し、サーバーやデータセンター拡張に踏み切っており、これが株価上昇の根拠と受け止められています。今後は、投資が実際の収益に結び付くかどうか、技術開発の速度とともに精査される状況となりそうです。


ただ、AIブームに乗った投資が膨張する一方、収益化の速度が追いついていない点から「AIバブル」への疑念も高まっています。今年7-9月期決算では引き続き大手ハイテクの好業績が目立った半面、メタ・プラットフォームズのようにAI投資の巨額投資が収益を圧迫するケースも顕著になりました。AI活用で利益拡大が期待される企業の株価は想定ほど伸びていません。


AIバブル崩壊への警戒が続くなか、エヌビディアの決算は期待先行ではなく実需に支えられた成長を示しました。第4四半期売上見通しが市場予想を上回ったのに加え、データセンター需要や次世代チップ「ブラックウェル」の強い受注から、同社の幹部はAI投資が投機ではなくインフラ支出として拡大しているとの前向きな見解を示しています。にもかかわらず、発表翌日のエヌビディア株は大幅安でした。


AI分野への投資は経済成長を支える頼もしい追い風である一方、熱狂に頼りすぎれば“バブル型”の循環を招きかねません。今後の焦点は、膨らんだ資金がどれほどの実需を生み、企業収益にいつ結び付くかという点にあります。技術の進展と商用化のスピードが市場の期待に追いつくかどうかが、株価上昇の要となります。足元の強気相場の持続は、このギャップをどの程度埋められるか次第と言えるでしょう。

(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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