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Chordia Research Memo(4):rogocekibの第1/2相臨床試験は拡大コホートを実施(1)

*12:04JST Chordia Research Memo(4):rogocekibの第1/2相臨床試験は拡大コホートを実施(1)
■Chordia Therapeutics<190A>の開発パイプライン

1. rogocekib
(1) 開発状況
現在のリードパイプラインであるrogocekibは、mRNA生成過程において重要な役割を担うCLKキナーゼ※の働きを阻害することで異常なスプライシングを発生させ、RNA制御ストレスを増大させてがん細胞を死滅させる効果が期待されている。

※ CLKキナーゼは、基質であるSRタンパク質をリン酸化する働きを持つ。SRタンパク質がリン酸化することで前駆型mRNAのうち不要な箇所(イントロン)が正確に取り除かれ、正常なスプライシングが促進される。

2018年から2023年まで日本で実施した第1相臨床試験では、標準治療の効果がない再発・難治性のAMLやMDSなどの血液がん及びその他固形がん(卵巣がん、乳がん、すい臓がん、大腸がん、肉腫等)の合計60症例を対象に安全性や有効性などを確認した。治験デザインは、週2回投与※で用量漸増試験を行い、主要評価項目として安全性、有効性、最大耐量、用量制限毒性を、副次的評価項目として薬物動態などのデータを収集、評価した。

※ 間隔をあけて投与するのは、CTX-712の投与によってストレスが掛かった正常細胞の状態を元に戻すため。

被験者投与を進めるなかで、血液がんや卵巣がんで薬効が確認できたため、これら疾患の患者を優先的に組み入れることにし、結果的に血液がん14例、卵巣がん14例、その他固形がん32例となった。試験結果については、2024年4月に開催された米国がん学会において発表しており、有害事象としては悪心、嘔吐、下痢などが挙げられたが、既述のとおり制吐剤などを投与することでコントロールが可能であり、安全性について問題のないことが確認された。

有効性に関しては、卵巣がん14例中4例でPR(部分奏功)※1が確認されたほか、AML及びMDS計14例(うちAML12例)のうち、4例でCR(完全寛解)、1例でCRi(好中球未回復の完全寛解)が確認された。このうち、AML及びMDSの有効性については、AML治療薬として承認された第一三共<4568>のヴァンフリタと比較して遜色ない水準※2だったほか、2024年11月にAML治療薬として米国で承認されたSyndax PharmaceuticalsのRevumenibの第2相臨床試験結果(症例数57例中、10例でCR、15例でがん細胞が体内から一時的になくなった状態を示すCRi、CRh、CRpを達成)や、承認申請間近の他社開発品の成績とも比肩し得る成績であったと同社では評価している。

※1 PR(Partial Response)は、治療前と比較して腫瘍の大きさが30%以上縮小した状態。白血病におけるCR(Complete Remission)は、骨髄に存在する白血病細胞の割合が5%未満であり、正常な好中球と血小板の数が完全に回復している状態。CRi(Complete Remission with Incomplete hematologic recovery)は、骨髄に存在する白血病細胞の割合が5%未満であるが、好中球、血小板のどちらか一方、又はその両方の回復が不完全な状態。
※2 ヴァンフリタは16例中、CRを達成した症例はなかったものの56%が何らかの奏功を示した(奏効率56%)。

なお、AML及びMDSの被験者14例中、投与前の段階でスプライシング因子に異常があった被験者4例のうち3例で奏功が確認され、投与期間も300日以上と長期間の奏功が認められるなど、患者が保有するスプライシング異常と治療効果の相関が強いことがわかっている。がん種別でスプライシング因子に異常を持つ患者の割合を見ると、肺がんや乳がんなどは1~2%と低いのに対して、AMLが10~20%、MDSが40%と血液がんで相対的に高い傾向となっている。また、AMLについては標準治療が効かずに再発する可能性が高く、5年生存率も30%程度と低いことから、新たな治療法の開発が強く望まれている状況も踏まえて、同社はまず2次治療以降のAML及びMDSを適応対象として開発を進めていくことを決定し、米国で2023年より第1/2相臨床試験を開始した※。

※ 米国でも第1相を行うことになったのは、日本で実施した臨床試験でカプセル剤を用いたのに対して、米国では市販を見据えて錠剤で試験を行うことになったため。

米国での臨床試験は当初、2024年末頃に第1相試験を終え、中間成績を2025年半ばに発表する予定であったが、FDAが2021年に提唱した「プロジェクト・オプティマス※1」に則って、第1相試験の組入れ数を増やす方針に転換した※2。FDAとの協議の結果、2025年9月に発表した臨床試験計画の改訂版によると、第1相パートの用量漸増コホートでは当初予定していた週1回5用量(20mg、40mg、80mg、100mg、140ng)の投与スケジュールに加えて、新たに週2回3用量(60mg、80mg、100mg)を追加した※3。合計40例程度の組み入れ数となるが、2025年8月末時点で36例を組み入れ済みで2025年内に完了する見込みだ。加えて、これら用法・用量のなかから良好な結果を得た用法・用量を2〜3パターンに絞り込み、拡大コホートとして60〜70例の組み入れを実施し比較・検討を行うことにし、同結果をもって第2相臨床試験で実施する用法・用量を決定する。当初計画よりも規模を大きくした拡大コホートを実施することで臨床試験期間は長くなるものの、成功確率がさらに高まると同社では見ている。また並行して、AML患者が罹患しやすい真菌感染症の治療薬との併用時に適したrogocekibの投与量を決定するための薬物相互作用を見る試験も20例ほど実施する。これらの試験を2027年前半までに完了し、2027年中頃より日米で第2相臨床試験(予定症例数約100例※4)を開始したい考えだ。今回の臨床試験計画の改訂に伴い全体の被験者数は当初予定の170例から225例に増加する。同社では早期に臨床試験を完了するために、治験施設数を現在の6施設から適宜増やしていく方針だ。

※1 FDAが、がん治療薬の開発において投与量の最適化と安全性向上を目的として、第1相段階で複数の用量・用法を検討したうえで第2相臨床試験を行うことが望ましいとの指針を示した。
※2 米国で「プロジェクト・オプティマス」に未対応だった他社の開発品が、販売承認申請しようとしたところ、FDAから差し戻されるといったケースがあり、第2相臨床試験後に販売承認を得るためには同指針に対応しておいたほうが良いとのコンサルティング会社からの助言があり、方針転換した。
※3 28日を1サイクルとして検査を行い、がんが進行している場合は投与を中止する。
※4 SyndaxのRevumenibの第2相臨床試験症例数57例に対して100例と多いのは、米国だけでなく日本でも実施することや、成功確率を高めるため保守的に計画を立てたためと思われる。

今回の臨床試験計画の変更に伴い、中間成績の発表予定時期についても2025年下期から2026年中頃へと変更した。時期的に見て欧州で6月に開催される血液がん学会での発表が有力視される。なお、販売承認申請については、2028年後半に日本で先駆的医薬品指定制度※を活用した販売承認申請を目指す。米国については中間成績のデータをもとに導出活動を本格的に展開する。中間成績の内容が既存承認薬の成績と遜色なければ、契約締結に大きく前進すると見られるだけにその内容が注目される。

※ 治療薬の画期性や対象疾患の重篤性、対象疾患にかかるきわめて高い有効性、世界に先駆けて(または同時に)日本で早期開発・申請する意思・体制などの指定基準を満たした開発品目を先駆的医薬品として厚労省が指定し、審査や相談などを優先的に行うことで早期実用化を目指す制度(通常1年間の審査期間を6ヶ月に短縮することを目標)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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