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地方選に揺れるルピー【フィスコ・コラム】

*09:00JST 地方選に揺れるルピー【フィスコ・コラム】
米印貿易摩擦の激化懸念は後退しつつあるものの、インドルピーは再び最安値圏に落ち込みました。昨年の総選挙を経て3期目に入ったモディ政権が、州議会選で苦戦を強いられているためです。来年にかけても地方選は続き、政策運営をにらむ展開となりそうです。


インドの東部ビハール州で11月6日と11日の2回に分けて州議会選挙が行われ、与党連合のナショナル・デモクラティック・アライアンス(NDA)、野党連合のマハガトバンダン(MGB=大連合)が激しく競り合っているもよう。人口が1.3億人前後に達する同州は平均所得が低く、宗教構成も多様。この選挙結果は地方経済の混沌を反映するとの見方から、とりわけ注目されています。


昨年の総選挙で、与党インド人民党(BJP)は543議席中240にとどまり、単独過半数を割り込みました。BJP主体のNDAは協力政党の支援によって政権を維持したものの、前回より議席を減らし、モディ氏の政権運営に揺らぎが生じました。モディ氏の求心力は依然として強いとはいえ、農村経済の疲弊や若年層の失業、物価高が逆風となり、与党勢力の縮小は政策運営の余地を狭めると懸念されます。


総選挙後の地方選では州ごとに異なる結果が示されています。BJPは直近のデリー首都圏選では政権奪還、補選では従来からの支持基盤であるグジャラートで一定の優位を保ちました。半面、複数の州の補選では地域政党が議席を守り、ケーララ州でも野党連合が強さを見せています。国政レベルの合意形成は必ずしも地方へ波及しておらず、「モディ人気」が限界を迎えつつあることを示す結果となりました。


来年はアッサム、ケーララ、西ベンガルなどで州議会選が予定され、地方政治の動きがあらためて焦点になります。これらの州で与党連合が議席を落とせば、中央政府との協調にずれが生じ、インフラ計画や産業政策の進行に影響が出かねません。次の総選挙は2029年に予定されますが、政治主導による経済成長が曲がり角を迎えているのは確か。政権の不安定化が意識されれば、海外資本は安全資産に流出するでしょう。


インド株式市場は米印摩擦の回避を安堵した買戻しが見られるものの、為替相場は米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げ観測後退によるドル買いとは別に、政治要因によるルピー安も観測されます。インド経済の成長期待が揺らぐ局面では、為替市場も政治の変化を敏感に映し出すことになりそうです。

(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。

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