フィスコニュース


欧州が抱える中国問題(2)【中国問題グローバル研究所】

*10:30JST 欧州が抱える中国問題(2)【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している「欧州が抱える中国問題(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。


※この論考は11月30日の<Europe’s China Problem>(※2)の翻訳です。


打つ手がないわけではない
EUにとって有意義かつ効果的な対中政策を策定するのは難しい。EU各国のGDPを単純に合計すれば大きな数字になるが、米国や中国がその経済規模を利用するような方式では、EUは容易に経済的影響力を発揮できない。意思決定には妥協が必要で、時間もかかる。中国が最近発表したレアアース輸出規制は、EUにとって警鐘になる。EUは中国のレアアース関連輸出に大きく依存しており、輸出許可制度による中国の過剰な介入は、中国政府が欧州の製造業に直接入り込もうとしていることを示している。EUはこれまで、中国との関係は経済に限ったものだと思い込もうとしてきたが、全体主義体制との関係が経済だけで済むはずはなく、そこには常に政治と支配が絡んでいる。レアアース輸出規制とその関連措置は、中国共産党がEUに対して効果的に展開している非物理的戦争の一環だ。EUはこれが単なる貿易紛争ではないことを認識し、危機感を高める必要がある。EUは「経済的威圧への対抗措置」という極めて強力な手段が存在するが、これまで一度も使用されたことがない。これは、国家間で課される通常の報復的貿易措置を超えたものである。EUは、企業や個人による商品・サービス・金融・知的財産(IP)の利用をすべて制限できる。加えて忘れてならないのは、特に航空業界で、欧州が極めて高度な精密機械を中国に大量に供給しており、中国はそれに依存していることだ。これらの輸出を停止するか、少なくとも停止を示唆するだけで、中国はすぐに交渉の席に着くだろう。

誰もEUに米国のような役割を期待できないし、単一国家のように機能することも期待できない。そもそもそのような体制になっていないからだが、EUは強力な交渉者として中国の重商主義を抑制できる可能性を秘めている。英国や米国の両国と連携できればはるかに効果的だが、一部の人々にとって不快に思われることかもしれない。米国がEUに対して抱く不満の根底には、EUが米国の善意にただ乗りしてきたという認識がある。それは事実だが、今後はそれができなくなるため、EUは自らの防衛費を負担することなく主導権を振りかざすのを止め、中国への対抗措置を真剣に考える必要がある。中国の指導部は外国投資を単なる経済問題と見たことはなく、常に政治的な側面を伴っている。EUは経済だけの対中関係などすでに過去のものだと認識しなければならない。より広範な地政学的アプローチで中国と対峙することによってのみ、EUはこの困難を乗り切れるだろう。


欧州委員会委員長フォン・デア・ライエン(写真:ロイター/アフロ)

(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://grici.or.jp/6979




<CS>



 
【重要】株予報/株予報Proを装った偽サイト、偽アカウント、偽広告にご注意ください

株予報/株予報Pro等の当社サービスを装ったり、当社の名を騙った偽サイト、偽アカウント、偽広告が確認されております。

偽サイト及び偽アカウントは、不正サイトへの誘導、個人情報の取得及び悪用、投資詐欺に遭う可能性がございますのでアクセスされないようにご注意ください。

当社では投資勧誘は行っておりません。LINEなどのSNSを利用した投資詐欺にご注意ください。

株予報 トレンドシグナル ®

2025/12/11 15:30 現在

(更新タイミング:翌営業日8時頃)

買い   1,049 銘柄
2,050 銘柄   売り
 
 
 
9984 ソフトバンクG 売り転換
8035 東京エレクトロン 売り転換
8411 みずほFG 売り転換
4063 信越化学工業 売り転換
6981 村田製作所 売り転換



 
本情報の正確性には万全を期しておりますが、情報は変更になる場合があります。 また、第三者による人為的改ざん、機器の誤作動などの理由により本情報に誤りが生じる可能性があります。 本情報は、情報の提供のみを目的としており、金融商品の販売又は勧誘を目的としたものではありません。 投資にあたっての最終決定は利用者ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。 本情報に基づいて行われる判断について、株式会社アイフィスジャパンは一切の責任を負いません。 なお、本情報の著作権は、株式会社アイフィスジャパン及び情報提供者に帰属します。 TOPIX及び東証業種別株価指数の指数値及びそれらに係る標章又は商標は、株式会社JPX総研又は株式会社JPX総研の関連会社の知的財産です。 本情報の転用、複製、販売等の一切を固く禁じております。
IFIS