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島津製作所:計測機器を軸に持続的成長を続けるグローバル技術企業
2025/10/22 10:02
*10:02JST 島津製作所:計測機器を軸に持続的成長を続けるグローバル技術企業
島津製作所<7701>は、計測機器を中心に、医用機器、産業機器、航空機器を展開する総合的な科学技術企業である。計測機器事業は液体クロマトグラフや質量分析計といった基幹製品を擁し、医薬・食品・化学など幅広い産業分野で研究開発や品質管理に利用される。同社は日本国内のみならず北米、欧州、中国、アジア各国に広く販売拠点を持ち、海外売上比率は68%を超える。
同社の強みは、第一に主力の計測機器事業において、安定的な成長を続けているヘルスケア市場で高く評価されている高度な技術力と製品群の競争力を持つことにある。ヘルスケアは年平均成長率4-5%と言われ景気変動にも強いグローバルな市場であり、その中で同社の液体クロマトグラフや質量分析計は、製薬や食品安全分野で高い評価を得ている。第二に、競合と比べて製品ラインナップが広いことである。計測などの技術力を強みに多彩な製品を揃えており、顧客から見れば同社の複数種の同社製品を導入することでワークフローごとに違う企業の製品を使用するときと比べ教育コストが各段に下がること、同規格で揃えることで複数の工程のデータ管理を一元化できるなどの大きな利便性が生まれる構図になっている。第三に、リカーリングビジネスの拡大が収益基盤を強化している点である。計測機器や産業機器ではメンテナンスサービスや製品の使用に不可欠な消耗品の収入が伸びており、特に計測機器事業ではリカーリング比率が42%に達し、製品の製造と比べて利益率も高く、安定収益源としての役割を強めている。
2026年3月期第1四半期は、売上高118,370百万円(前年同期比1.2%増)、営業利益12,184百万円(同11.2%増)の増収増益となった。セグメント別では、計測機器が製薬市場での好調などにより売上・営業利益とも過去最高を更新し、航空機器も防衛需要の拡大を背景に大幅な増収増益を達成した。一方、医用機器は受注残の不足により減収減益、産業機器も為替影響で利益が横ばいとなったが、総じて堅調に推移した。通期業績予想は売上高515,000百万円(前期比4.5%減)、営業利益58,000百万円(同19.1%減)と2025年3月期通期決算発表時点で公表した関税影響を織り込んだワーストケースから据え置かれており、現時点では関税政策など外部環境に不透明感があるものの、主要事業の底堅さは引き続き継続する見込みである。
今後の成長見通しについては、2023~2025年度の中期経営計画で「売上高5,500億円」「営業利益800億円」「ROE12.5%以上」を目標として掲げている。成長ドライバーは、(1)ヘルスケア領域における創薬モダリティや臨床検査市場の拡大、(2)グリーン領域でのカーボンニュートラル対応やバイオものづくりへのソリューション提供、(3)北米を中心としたグローバルR&D拠点強化、(4)メドテック事業でのAI画像解析や臨床検査プラットフォームの展開である。特に北米市場では製薬企業やCROとの連携を深め、現地密着型の開発体制を強化しており、製品開発と実績創出を進めることで他国に向けてのグローバル展開にもつなげていく構えである。北米ではR&Dセンターも開設しており、先進的な技術を有する重要顧客との共同研究・開発を推進し拡販につなげていく。また製品群で見れば、利益率が特に高い液体クロマトグラフ・ガスクロマトグラフ・質量分析計の3機種の販売を強化していく方針を示しており、リカーリング収益の拡大も並行して進めることで高収益化を図っていく。
株主還元については、2026年3月期も年間配当66円(前期比横ばい)を予定しており、配当性向を30%以上とする方針を継続している。前期には創業150周年記念配当(4円)を実施しており、節目ごとに株主還元を強化する姿勢が見られる。一方で、研究開発費や設備投資額も増加させており、成長投資と安定配当の両立を図る経営方針が特徴である。
総じて、島津製作所は計測機器事業を核に、研究開発力とグローバル展開を背景に持続的な成長を続けている。世界的なヘルスケアニーズを捉えた計測機器製品群やリカーリング収益基盤強みであり、中長期の収益安定性を高めている。北米市場を基点としたさらなるシェア拡大も目指しており、同社のグローバルな成長に今後も注目していきたい。
<HM>
島津製作所<7701>は、計測機器を中心に、医用機器、産業機器、航空機器を展開する総合的な科学技術企業である。計測機器事業は液体クロマトグラフや質量分析計といった基幹製品を擁し、医薬・食品・化学など幅広い産業分野で研究開発や品質管理に利用される。同社は日本国内のみならず北米、欧州、中国、アジア各国に広く販売拠点を持ち、海外売上比率は68%を超える。
同社の強みは、第一に主力の計測機器事業において、安定的な成長を続けているヘルスケア市場で高く評価されている高度な技術力と製品群の競争力を持つことにある。ヘルスケアは年平均成長率4-5%と言われ景気変動にも強いグローバルな市場であり、その中で同社の液体クロマトグラフや質量分析計は、製薬や食品安全分野で高い評価を得ている。第二に、競合と比べて製品ラインナップが広いことである。計測などの技術力を強みに多彩な製品を揃えており、顧客から見れば同社の複数種の同社製品を導入することでワークフローごとに違う企業の製品を使用するときと比べ教育コストが各段に下がること、同規格で揃えることで複数の工程のデータ管理を一元化できるなどの大きな利便性が生まれる構図になっている。第三に、リカーリングビジネスの拡大が収益基盤を強化している点である。計測機器や産業機器ではメンテナンスサービスや製品の使用に不可欠な消耗品の収入が伸びており、特に計測機器事業ではリカーリング比率が42%に達し、製品の製造と比べて利益率も高く、安定収益源としての役割を強めている。
2026年3月期第1四半期は、売上高118,370百万円(前年同期比1.2%増)、営業利益12,184百万円(同11.2%増)の増収増益となった。セグメント別では、計測機器が製薬市場での好調などにより売上・営業利益とも過去最高を更新し、航空機器も防衛需要の拡大を背景に大幅な増収増益を達成した。一方、医用機器は受注残の不足により減収減益、産業機器も為替影響で利益が横ばいとなったが、総じて堅調に推移した。通期業績予想は売上高515,000百万円(前期比4.5%減)、営業利益58,000百万円(同19.1%減)と2025年3月期通期決算発表時点で公表した関税影響を織り込んだワーストケースから据え置かれており、現時点では関税政策など外部環境に不透明感があるものの、主要事業の底堅さは引き続き継続する見込みである。
今後の成長見通しについては、2023~2025年度の中期経営計画で「売上高5,500億円」「営業利益800億円」「ROE12.5%以上」を目標として掲げている。成長ドライバーは、(1)ヘルスケア領域における創薬モダリティや臨床検査市場の拡大、(2)グリーン領域でのカーボンニュートラル対応やバイオものづくりへのソリューション提供、(3)北米を中心としたグローバルR&D拠点強化、(4)メドテック事業でのAI画像解析や臨床検査プラットフォームの展開である。特に北米市場では製薬企業やCROとの連携を深め、現地密着型の開発体制を強化しており、製品開発と実績創出を進めることで他国に向けてのグローバル展開にもつなげていく構えである。北米ではR&Dセンターも開設しており、先進的な技術を有する重要顧客との共同研究・開発を推進し拡販につなげていく。また製品群で見れば、利益率が特に高い液体クロマトグラフ・ガスクロマトグラフ・質量分析計の3機種の販売を強化していく方針を示しており、リカーリング収益の拡大も並行して進めることで高収益化を図っていく。
株主還元については、2026年3月期も年間配当66円(前期比横ばい)を予定しており、配当性向を30%以上とする方針を継続している。前期には創業150周年記念配当(4円)を実施しており、節目ごとに株主還元を強化する姿勢が見られる。一方で、研究開発費や設備投資額も増加させており、成長投資と安定配当の両立を図る経営方針が特徴である。
総じて、島津製作所は計測機器事業を核に、研究開発力とグローバル展開を背景に持続的な成長を続けている。世界的なヘルスケアニーズを捉えた計測機器製品群やリカーリング収益基盤強みであり、中長期の収益安定性を高めている。北米市場を基点としたさらなるシェア拡大も目指しており、同社のグローバルな成長に今後も注目していきたい。
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