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トーソー:住宅市場縮小下でも高付加価値化と非住宅拡大で堅実な成長を目指す、PBR0.3倍台で推移

*17:03JST トーソー:住宅市場縮小下でも高付加価値化と非住宅拡大で堅実な成長を目指す、PBR0.3倍台で推移
トーソー<5956>はカーテンレールを主力とする室内装飾製品メーカーであり、1949年の設立以来70年以上にわたって国内シェア首位を維持している。製品はカーテンレール、ブラインド、ロールスクリーン、間仕切り、福祉用品などで構成されるが、特にカーテンレールではシェア約45%に達する。ブラインド類ではシェア約15%と立川ブラインド工業、ニチベイに次ぐ3位であるが、カーテンレールを軸にした豊富な商品ラインナップと、インテリアトレンドを捉えたデザイン・機能提案力を強みに事業を拡大してきた。製品別売上構成は、カーテンレール類が約45%、ブラインド類が約41%、間仕切類1%、その他12%である。福祉用品分野では、子会社フジホームによるステッキ等の販売を行い、新規取引先の開拓も進む。

競争優位性は、第一にカーテンレールの圧倒的な商品ラインナップと開発力にある。2年に1度のペースで新製品を投入し、インテリア市場のトレンド変化に対応している。住宅メーカーやカーテン販売業者などパブリックメーカーとの強固な取引関係を背景に、施工現場での信頼が厚く、標準仕様として採用されることも多い。加えて、長年の技術蓄積をもとに品質の安定性が高く、施工性に優れる点も強みである。同社が製品開発で重視している点はデザインと機能で、デザイン面では過去に30種類以上の製品でグッドデザイン賞を受賞。機能面では製品本来の便利さや快適さの追求に加え、特に近年は省エネ・節電などに貢献する製品づくりにも積極的に取り組んでいる。ブラインド分野では他社が非住宅施設向けの販売網で先行するが、同社はカーテンレール事業で培った関係を活かし、インテリア全体をコーディネートする提案型営業で差別化を図っている。製品自体はコモディティ化が進むものの、インテリア空間全体での付加価値を訴求する戦略が浸透しつつある。

2026年3月期上期業績は、売上高11,144百万円(前年同期比5.8%増)、営業損益280百万円の黒字(前年同期は17百万円の赤字)と増収・黒字転換を達成した。主力の室内装飾関連事業が好調で、住宅分野ではバーチカルブラインド新製品の販売増が寄与、非住宅分野ではホテル向け案件の獲得が進んだ。価格改定と原価低減活動も効果を発揮した。インフレ環境下で製品単価は上昇しており、電動カーテンレールやウェーブカーテンなど高付加価値モデルの販売拡大が利益改善に貢献した。通期計画は、売上高23,500百万円(前期比3.1%増)、営業利益600百万円(同19.7%減)を見込んでいる。

市場環境は、国内の新設住宅着工戸数は大幅に減少。原材料費の上昇や為替変動、人手不足によるコスト増も発生し、特に物流・運送業界での価格改定が増加している。同社はこうした構造変化を踏まえ、住宅依存の緩和を図る戦略として非住宅分野、用途開発、海外販売などを明確にしている。ただ、住宅分野では大型販売店の台頭により販売店の淘汰が進む中、展示会出展やSNSを通じた直接訴求を強化し、認知度向上と高付加価値製品の拡販を進めている。また、インスタグラムなどのSNS発信を通じ、エンドユーザーの指名買いが増加傾向にあるという。

同社の経営ビジョン「Vision2025」は、2026年度を最終年度とする10年計画(コロナ禍で1年延長)の第3フェーズであり売上240億円、ROE6%以上を経営目標に掲げる。重点施策は、コア事業の磨き込み、成長戦略による事業領域拡大、経営基盤の再整備の3本柱である。カーテンレールNo.1メーカーとしての優位性を極限化し、ウェーブスタイルカーテンや住宅電動分野を強化する。また、非住宅市場に専任担当を配置し、物件獲得体制を整備。車両向けやエクステリアなど新用途開発も進める。海外ではインドネシアの工場を拠点にアジア・欧州へ資材販売を展開し、代理店網の拡充を進めている。高級ホテルや中間層住宅の需要を取り込み、長期的な外需の拡大を見込む。そのほか、生産体制・コスト構造の再構築を図り、材料調達の見直しや厚みの最適化など原価低減を継続する。営業部門とも連携し、製品のマイナーチェンジを通じて品質維持とコスト抑制を両立している。

資本政策では、配当性向20%を目安とした安定配当に加え、自己株式の取得も機動的に進めている。営業キャッシュフローを成長投資と株主還元の両立に振り向ける方針であり、今後もROE6%以上の維持を重視する姿勢を明確にしている。工場設備への追加投資も並行して進めており、利益水準と認知度の向上を通じてPBR0.3倍台で推移するなかで1倍割れの改善を目指す。

中期的には、電動化・デザイン性・施工性を高めた製品群が利益率の底上げに寄与し、非住宅比率の上昇とともに利益構造が安定化する見通しである。中期計画の最終年度に向け、同社は「国内住宅の窓から非住宅・海外の空間へ」と事業領域を拡張しながら、インテリア文化の発展と快適な暮らしの提案を両立させる企業への進化を目指している。



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