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恵和 Research Memo(5):地球の絆創膏事業から撤退。主力の光学製品事業が収益を補う

*11:05JST 恵和 Research Memo(5):地球の絆創膏事業から撤退。主力の光学製品事業が収益を補う
■恵和<4251>の業績動向

1. 2025年12月期中間期の業績概要
2025年12月期中間期の連結業績は、売上高9,913百万円(前年同期比2.8%増)、営業利益2,247百万円(同8.9%増)、経常利益1,960百万円(同23.6%減)、親会社株主に帰属する中間純利益693百万円(同56.0%減)となった。連結業績予想は、米通商政策の影響は不透明なものの据え置き、進捗率は売上高47.3%、営業利益は64.1%、経常利益は55.9%とおおむね順調な一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、地球の絆創膏事業撤退に係る特別損失計上の影響もあり26.3%と落ち込んだ。売上高については、米通商政策影響からの前倒し需要が一部含まれるようだが、光学製品事業の「オパルス」がノートパソコンの市場回復を受け、既存取引先のシェアアップや、2024年12月期下期に量産出荷した案件が貢献したほか、車載向けでも同2.8%増と拡大した。機能製品事業では、クリーンエネルギー車向け特殊フィルム製品と太陽電池資材が顧客理由で減産及び終了となり受注が減少した。一方、全体売上に占める割合は低いものの、医療用工程フィルムでは高品質を背景に顧客のブランドスイッチを促し躍進した。

地球の絆創膏事業については、2023年にインフラ補修工法“KYOZIN”を開発し、屋根用保護シート「KYOZINRe-Roof(R)」を販売・施行していたが、施工後の自主点検から、顧客ごとに屋根の下地素材や劣化状態・構造が異なることを原因に、開発段階では予期しえない品質の課題が抽出された。検査・再試験を進めたものの改善に至らず、2024年11月に研究開発フェーズに引き戻し製品改良を進めたが、当初想定した耐久性の担保には大幅な製品設計の見直しや生産プロセスや施工方法の改良が必要と判断し、2025年8月に開発中の建築・土木建造物向け保護シートも含め、同事業からの撤退と開発拠点の淡路ベースの廃止を決定した。なお、販売・施行済の顧客に対しては、点検結果の報告とともにメンテナンスへの適切な対応を進める方針で、関連コストに関しては、2025年12月期中間期に販売済製品に対する補償債務は製品保証引当金として、その他研究設備の減損や助成金返済も含め832百万円(売上高の8.4%)の事業撤退損失を計上した。

同社は、撤退の根本原因として、同事業を事業直轄体制としたため技術のコンプライアンスやリスクマネジメントで重視すべき外部専門家や社内品質保証室との情報共有が欠落した点を挙げている。この教訓を礎に経営理念「自然と産業の調和を創造する」に立ち返り、再発防止と品質管理の強化を徹底する。

2025年10月下旬には臨時株主総会を開き、監査等委員会設置会社への移行に伴う定款の一部変更議案等を付議する。これによって社外取締役が取締役会にて重要案件決議に関与することが可能となり、監督機能が強化されることとなる。また監査等委員である取締役の任期は2年と社外監査役の4年より短くなることから、経営課題に応じた適任者をフレキシブルに選択できるようになり、コーポレート・ガバナンスの強化と経営効率の改善が望める。

加えて、技術研究開発の増加する主力の光学製品事業と市場拡大が予想される機能製品事業へリソースを集中するため、社員をそれぞれ開発部門や製造部門に配置転換しており、これにより高品質を実現して顧客の信頼を取り戻し、顧客及び社会への貢献を強化する考えである。

利益面は、利益率の高い光学製品事業の売上増加や自動化等による生産性効率向上により営業利益率は前年同期比1.3ポイント増の22.7%となったが、円高影響による為替差損及び地球の絆創膏事業撤退による特別損失を計上し、経常利益・中間純利益ともに前年同期比で減少した。

四半期ごとの推移を見ると、2025年12月期第2四半期は、売上高について、光学製品事業は前四半期から堅調が続き、機能製品事業では医療用工程フィルムが伸び農業資材・他が前四半期比14.4%増と大幅に伸びた。セグメント利益に関しては、2025年12月期に設備投資額の前期比77.9%増計画に伴い減価償却費は同39.6%増加し、加えて同1.1%増の研究開発費を計画することもあり、利益率は低下傾向にあるものの、生産設備の自動化等により生産性は向上しており20%水準を維持している。

2. セグメント別の業績
(1) 光学製品事業
売上高は8,074百万円(前年同期比6.3%増)、セグメント利益は3,634百万円(同0.4%減)となった。売上高については、「ノートパソコン向け」では世界PC市場の回復傾向と米通商政策の影響からの前倒し需要も見られ、従来型「オパルス」と高性能な「オパスキ」が堅調に推移した。2024年12月期下期から量産出荷開始した案件は、顧客需要に沿う形で製品のモデルチェンジを行い、量産体制に移行したことで受注が好調に推移し、業績の押し上げ要因となった。2024年12月期から好調の続く「オパルス」を提供する「タブレット向け」については、全体の市場規模は大きく変わらないが、同社品質の優位性を相対的に高めることで顧客のブランドスイッチを促し、市場シェアを拡大した。「車載向け」については、車載モニター市場の需要が拡大するなか「オパルス」が一番の伸びを見せ、視野角を制御する「特殊な機能を有する製品」も販売を拡大した。「その他のモニター関連」では、既存顧客から新機種での採用があり「オパスキ」の売上が伸長した。利益面では増収効果はあったものの円高影響を受け、セグメント利益率は前年同期比3.0ポイント低下の45.0%となった。

(2) 機能製品事業
売上高は1,839百万円(前年同期比4.2%減)、セグメント利益は111百万円(同22.4%減)と大きく減少した。売上高では、「農業資材・他」に分類される医療用工程フィルム「メディテクト」が大幅な伸びを見せた。「メディテクト」は人工透析療法に用いられるダイアライザー(人工腎臓)の製造工程で利用され、同製品の品質の高さや少ない歩留まりが評価されシェア拡大が続いている。需要増加の予測もあり、2025年12月期上期には全自動工程の製造設備が本格稼働し、生産能力を増強した。大きく減少した「クリーンエネルギー資材」では、クリーンエネルギー車向け特殊フィルム製品が、顧客での搭載車両の生産回復に遅れが見られ受注が減少した。ほかにも太陽電池資材の一部製品の取扱い終了や、「工程紙・建材」では建材向け製品を提供する顧客で生産トラブルが発生し収益減少の要因となった。利益面では、医療用工程フィルムで増収効果はあったが、人材投資として賞与が増加し、利益率は同1.5ポイント低下の6.0%となった。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)



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