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極東貿易 Research Memo(8):中計4期目のポイントは、「M&A戦略の実行」と「成長戦略への事業投資」(2)

*11:08JST 極東貿易 Research Memo(8):中計4期目のポイントは、「M&A戦略の実行」と「成長戦略への事業投資」(2)
■極東貿易<8093>の中期経営計画と成長戦略

(2) 成長事業分野と事業投資の実行
中期経営計画の最大の目玉は、M&Aを含む新規ビジネスの創出である。社長直轄プロジェクトとして、5つの成長分野への経営資源投入を強化している。5つの成長分野とは、1) 再生可能エネルギー、2) 水素・電池、3) 環境衛生、4) バイオプロダクツ、5) 産業向けDX・IoTである。同社は、これまでもこれらの分野に何らかの形で関わってきたため、市場や技術の知見・経験を活かすことが可能である。この中から、複数の事業化を目指しているが、今回は「洋上風力発電関連事業」と「地震・振動機器事業」に注目したい。

1) 再生可能エネルギー分野:洋上風力発電関連事業
同社グループは、戦略的アライアンスと強みを活かした幅広い製品提供により、事業基盤の強化を図っている。

洋上風力発電市場は、三菱商事<8058>グループの撤退事例が示すように、資材費・人件費の高騰により、業界全体の採算性が悪化し、不確実性が顕在化するという厳しい局面にある。しかしながら、日本では政府主導の「再生可能エネルギー海域利用法」に基づくプロジェクトが継続しており、引き続き高い成長余地を保持している。報道によれば、第2・第3ラウンドは予定通り進捗しており、第4ラウンドについては、公募時期は未定ながらも、政府が年内(2025年中)に事業環境整備の具体策を取りまとめる方針であることから、今後も大きな市場機会が続くと見込まれる。

この厳しい環境下、同社グループは2つの柱で事業を推進する。

1つは、戦略的アライアンスの活用だ。資源開発の知見を活かし、洋上風車建設に必要な大型機材及び治具の設計で世界的なリーディングカンパニーであるオランダのTWD B.V.と戦略的アライアンスを締結し、(株)TWD Japanを設立した。TWD Japanは、設計・エンジニアリングに加え、製作・保守・メンテナンスへと事業展開の拡大を見据えている。国内のゼネコン・マリコン※(風車建設のEPC事業者)からの受注機会を模索しており、既に富山県入善町沖での実績も有している。

※ マリコンはマリンコントラクターの略で、五洋建設<1893>や東亜建設工業<1885>などが有名。

もう1つは、洋上風力分野での製品ラインナップの拡充である。鳥類調査レーダーシステム、海上特殊タラップシステム、メンテナンス用海中監視/作業用水中ロボット、風況調査/洋上風況観測用ブイなど、調査からメンテナンスまでを網羅する幅広い製品群を提供しており、これらの引き合いは増加傾向にある。

同社グループは、製品拡充と戦略的提携を両輪とし、日本・東アジア(台湾)市場での事業基盤強化に注力する方針だ。将来的には、洋上風力発電分野において、産業設備関連部門が持つノウハウと、海洋資源探査機器の活用によるさらなる事業展開を図る考えだ。

2) 地震・振動機器事業
同社は長年にわたり、地震・震動機器の販売に取り組んできた。2020年10月には、連結子会社である日本システム工業(株)が(株)ミツトヨから地震振動機器関連事業を譲り受けた。この事業譲受により、製造を日本システム工業が、販売を同社が担う体制を確立した。そして、2023年3月期からは、日本システム工業において地震計の自社生産を開始し、現在は後継機の開発や市場拡大を進めている。

同社グループの地震計の主な用途市場は、国内の原子力発電所向けのほか、鉄道、新幹線沿線、橋梁、火山、地下深部など多岐にわたる。新幹線においては安全制御用に採用されているほか、火山活動観測や高感度地震観測のための地殻活動観測装置としても利用されるなど、独自の用途を持つ。この事業は、機器の販売や点検・保守サービス通して高い収益性を有している。大規模なスケールメリットは期待しにくいものの、社会の安心・安全ニーズに応える高い社会的価値を持つ、同社にとって不可欠な存在である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水 啓司)



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