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ユキグニファクトリー:まいたけ寡占市場の優位性を武器に、海外展開と代替肉で事業拡大へ

*10:16JST ユキグニファクトリー:まいたけ寡占市場の優位性を武器に、海外展開と代替肉で事業拡大へ
ユキグニファクトリー<1375>は、プレミアムきのこ総合メーカーであり、特に「まいたけ」の大規模な人工栽培を世界で初めて実現した企業として知られている。創業から40年以上にわたり培ってきた技術力を背景に、まいたけ市場で過半のシェアを占め、国内三社による寡占市場を主導する存在となっている。研究開発から栽培、販売までを一気通貫で行う垂直統合型のビジネスモデルを構築。

事業ポートフォリオは、まいたけを中心にぶなしめじ、エリンギといった主要きのこ類で売上の8割強を占め、残りをニッチ・プレミアムとして位置付けるマッシュルームなどのその他の茸が占める。まいたけは流通量こそ年間5.7万トンと、えのきやぶなしめじの12万トンと比較して少ないが、参入障壁が高く、三社寡占による高い収益性を維持している。ぶなしめじやエリンギは生産者が多くコモディティ化が進むものの、同社のまいたけは菌株開発から販売までを内製化し、品質と安定供給を武器に差別化を図っている。また、卸売市場経由の販売を20%台に抑え、スーパーや量販店に直接提案型営業を行う体制を整備することで、価格コントロール力と新商品の立ち上げや需要創造、さらには競合との差別化につながっている。

2026年3月期第1四半期は、売上収益72.8億円(前年同期比1.8%減)、営業損益7.1億円の赤字(前年同期は0.8億円の赤字)。背景には、野菜価格の下落に伴う消費者の選好シフトがあり、キャベツやレタスなどの大型野菜の価格下落によって、相対的にきのこのコストパフォーマンスが低下したことが響いた。一方で、まいたけやエリンギの販売単価は前年を上回り、まいたけは前年比107.0%、エリンギは108.3%と上昇。製品小型化や構成見直しによる高付加価値化戦略が奏功した。IFRSに基づく公正価値評価では、生物資産の評価差が約9億円のマイナス要因となり、実力値が見えにくい状況となった。一方で、公正価値の影響を除いたコア営業利益マージンでは、前期から1%ほどのマイナスに抑えることができており、さらに公正価値を除いた粗利段階では、コストコントロールを徹底したことでマージンが改善している。

通期計画では売上収益388.8億円(前期比4.8%増)、営業利益32.7億円(同35.1%増)を見込む。売上収益は第3、第4四半期に偏重する傾向が強く、秋冬の販売動向が重要となる。異常気象による野菜価格高騰はプラス要因として作用しやすく、例年同様に年末商戦を含む秋冬シーズンがカギを握るだろう。

中期経営計画では、2028年3月期に売上収益420億円超、海外売上比率6%まで引き上げることを目標に掲げている。ベース事業を基盤に、ニッチ・プレミアム事業と海外展開を二本柱として拡大。2023年のオランダ企業買収を契機に経営資源を相互活用し、ヨーロッパをハブにグループ全体の競争力を高める方針だ。また、新規事業領域として「キノコのお肉」の展開を成長ドライバーに位置づけている。特に代替肉市場は世界的に拡大しており、キノコ由来のタンパク質は栄養面・環境負荷面で優位性を持つ。ユキグニファクトリーは、主原料であるまいたけの人工栽培による安定供給体制と既存の販売網を活用し、新規市場を開拓していく構えである。マッシュルーム事業についても、国内生産量は年間9千トン未満と小規模ながら、洋食との親和性から若年層需要を取り込み、季節性を補完する成長ドライバーとなる可能性が高い。

株主還元については、今期の年間配当予想を16円、(前期比1円増)とし、配当性向30%を目安としている。成長投資や有利子負債返済とのバランスを取りつつ、安定配当を重視する姿勢を示している。また、株主優待制度も導入しており、安定的な株主基盤の形成に寄与している。

同社は、まいたけ市場での圧倒的シェアを基盤としつつ、代替肉やマッシュルームといった新規分野への挑戦を加速させている。短期的には野菜価格動向に業績が左右されやすいという課題を抱えるが、中期的には海外展開ときのこ由来の代替肉といった新規事業が収益拡大に寄与する可能性が高い。安定配当と株主優待を組み合わせた還元姿勢も投資家に安心感を与えており、今後の業績成長と株価水準の改善に注目したい。



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